東京店の川本です。
移転してしまった旧交通博物館はイングレッソ東京店のすぐ目と鼻の先ですが、そこは幻の駅、万世橋駅があったところなのです。
明治時代に中央線の駅としてできたのはなんと東京駅よりも早く、日本で初めて本格的駅前広場をもった駅として開業したそうです。左の古い写真を見てもらうとその建物の様子は東京駅に似ており、それもそのはず設計にあたったのは東京駅と同じ人物なのだそうです。
明治から大正にかけて万世橋駅前の須田町通りは、東京で一、二を争う繁華街であったとのことで、交通量は当時としてはすごかったようです(といっても多くは自転車か荷車)。
そして前述の広場にあったのが広瀬中佐の銅像です。広瀬中佐は日露戦争で活躍して壮絶な戦死をとげた「軍神」なのだそうです、しかも日本初の。日露戦争後、記念碑や銅像の建造ブームがあり、最も人通りの多い万世橋駅前に設置されたのがこの広瀬中佐銅像です。そしてこの広瀬中佐は、讃える文部省唱歌まである程の人物なのです。
その後万世橋駅は関東大震災で消失後は簡素な駅になり、また東京駅開業後は存在感が薄れ、やがて廃止されてしまいます。そしてシンボルであった「軍神」広瀬中佐銅像も第二次世界大戦後にGHQの指示により撤去されてしまったそうです。
アキバ系一色に染まった現在、片隅のにある旧交通博物館付近に万世橋駅の名残はかすかにしかありません。そして万世橋再開発プロジェクトなるものが持ち上がってきており、移り変わりは急加速中といったところです。