東京店の田上です。
この時期イタリア・ミラノでは「ミラノウニカ」という展示会が行われています。今回は来年の秋冬向けの素材展示会ということで、我々も必ず出張して訪問します。この「ミラノウニカ」は元々我々が訪問していたビエラ産地のメーカーによるメンズ向けの「イデアビエラ」といくつかの展示会が合同開催になったもので今回が7回目になります。
シャツ地の「シャツアベニュー」、レディスの「イデアコモ」、テキスタイルと附属「モーダイン」、プラトー地区の量産型メーカーによる「プラトーエクスポ」、それぞれ別々に開催していたのですが、各展示会の集客の低下とパリで行われる世界最大の「プリミエールビジョン」に対抗する為にこの合同開催は3年前にスタートしました。
この合同開催を牽引しているのはイタリア織物メーカーの雄、エルメネジルドゼニアとロロピアーナで、当初はそれなりの成果がでていたようですが、この2社の尽力にもかかわらず、このところはまたパリ側の優勢がはっきりしてきているようなのです。
基本的にパリと違ってこれらの展示会は入場無料にしており、「イデアビエラ」では昼食&ワインも無償提供されています。その分メーカーの参加負担も大きいということで、心意気には賛同しつつも、受注不振とそれ故の台所事情からだんだんパリ側に重心を移していくメーカーが増えてきているということです(両方参加しているメーカーも勿論あります)。
ビエラ地区のメーカーの苦境は最近よく報じられていますし、生き残りに必死のメーカーにしてみれば死活問題ということで仕方ないでしょうが、2大メーカーは足並みの乱れを憤慨しているようです。ビエラ地区メーカーのど根性を世界には示したい、けど台所事情はそれを許さない・・・と毛織物の産地はどこもしんどいですよね。かつて英国や日本国内メーカーを追いやったイタリアが、結局は同じ道を辿っていってるのは宿命的とはいえ、なんともいえませんねぇ。
数年前私が出張させてもらっていた頃には、「イデアビエラ」はスイス国境近いコモ湖畔で優雅に開催されており、初めて訪れたときには感動したものでした。もうそんな状況には絶対戻れないもんなんでしょうか?