札幌店の三上です。
先日久し振りにゴダールの話などしてちょっと興奮気味になってしまいましたが、その余韻とともに続編を書きたいと思います。
ゴダール映画といえば、アンナカリーナという女優なしには語れません。デンマーク出身、10代にしてモデルとなり、18歳でパリへ、そして2年後ゴダールと運命の出会いと初のゴダール映画出演。
その小悪魔的な魅力は映画を見ればわかります、そしてゴダールがどれだけアンナカリーナにのめり込んでいたかも。実際ゴダールはアンナカリーナと結婚し、彼女を主演にした映画を撮りまくります。
その一作が「女と男のいる舗道(1962)」です。
これはアンナカリーナ演ずる主役ナナが、女優の夢を持ちつつも娼婦に零落していく話ですが、実生活でも蜜月時代を過していたゴダールの愛情が満ち溢れています。ナナが映画館で「裁かれるるジャンヌ」を見ながら涙するシーンは何度見ても美しいとしかいいようがないです。
ストーリーはゴダール映画らしくスピーディーな展開です。子供をもうけたが離婚し、女優を目指しつつもレコード屋の店員では生活が持たず、つい男に誘われ体を許して金を受け取ってしまう。そのうち本職の娼婦の道にはまり、無感動に日々を費やすが、ある日小競り合いの中で虫けら同然に射殺されてしまう・・・と、身も蓋もない話なんですが、最後のシーンで撃たれて倒れた直後に、突然「FIN」の文字が浮かび上がった時にはびっくりしたのを憶えています。
映画の中で印象的なのが、ゴダールがわざと彼女の演技の前の姿や演技が終わった後の姿を映画の中に取り入れていることです。自然な姿を表現しているといえますが、演技にこだわるアンナカリーナは激怒し、2人がうまくいかなくなる原因の一つになったと言われています。
そしてゴダールの名を一躍高めた「気狂いピエロ(1965)」が世に出たときには、既に2人の仲は破綻し離婚してしまいます。初めて見たときには全く知らなかったですが、ゴダールの映画の一ピリオドが終焉した映画でもあったのでした。
尚、昨年「気狂いピエロ」でアンナカリーナが着ていた洋服を復刻させる、という企画をアニエスベーがやっていました。