東京店の田上です。
カシミヤ販売の秋冬シーズンには、必ずといっていいほど毎年虚偽表示や不当表示のことが問題になります。
カシミヤヤギのうぶ毛を織って作るカシミヤは、1頭から取れる毛量は200グラム前後に限られるため、最高級品として取引されますが、業界では「生産量の4倍のカシミヤが流通している」とも言われています。
我々もカシミヤを扱う際には毛製品検査協会という機関に検査に出しますが、検査の方法としては製品から抜き取った毛を一つ一つ顕微鏡で目視で調べているのです。よって時間も費用もかかるため、鑑定を依頼する我々卸売りや販売業者の負担が大きいのが実情です。
ところが今回、テラヘルツという特殊な光を当てるだけでカシミヤの純度を測定する技術を、岩手県立大の研究チームが開発したというのです。テラヘルツのテラは1兆の意味で、光と電波の中間にあたる周波数をもつもので、40年前に人工的に作り出す方法が考案され、エックス線では識別できない火薬や麻薬、食品添加物の検査などへの応用も期待されています。
同大によると、このテラヘルツ波を繊維に照射すると、素材によって波長や強さが異なり、人間の指紋のように識別可能といいます。カシミヤや羊毛、綿、アクリル、ナイロンなど約30種類を調べ、それぞれ特有の振動波を確認できたとのこと。カシミヤに肌触りが似ている羊毛も、数十秒で正確な判定ができ識別できるということで、これは画期的だと思いますし、是非実用化してほしいですね。そしてカシミヤが以前のように高く売れる商材に復活してくれればいうことないのですが。