東京店の川本です。
梅雨が明け暑くなるのと同時に各地に出没し、暑さに拍車をかけるのが蝉たちです。ツクツクボウシやヒグラシのように泣き声が気にならない蝉もいますが、アブラゼミが庭の木や壁にとまって泣き出した日にはもう大変です。
しかしここ数年そのアブラゼミの状況が変わってきてるようです。地球温暖化の影響で、本来暖かい地域を生息域とするクマゼミが勢力を拡大、従来は棲息が確認されていなかった関東以北でもその姿が確認できるようになってきたそうです。
しかしそれだけにはとどまりません。都市の緑化がすすみ、道路の脇や街角に樹木が植えられている場所が多く見られます。その影響で蝉を捕食するヒヨドリなどの野鳥が増えているそうです。ここで問題なのがアブラゼミとクマゼミの外敵からの身の守り方の違いです。クマゼミは遠くに飛んで逃げますが、アブラゼミは近くの木に隠れるんだそうな。街に緑が増えたとはいえその数はまばらで、飛んで逃げるクマゼミには有利で、隠れるところが少ないアブラゼミには不利。その結果鳥に食べられる割合がアブラゼミのほうが圧倒的に高く、それがアブラゼミとクマゼミのバランスを崩しているとのこと。
そういわれてみればまだまだ緑の多い我が家の近くでも、今年は「ジージー」というアブラゼミの泣き声が減ったようにも感じます。都市で失われた緑や鳥が増えることは悪いことではないけど、一方でアブラゼミが減っているという事実はいかに崩れた生態系をよみがえらせるのが難しいか。人間が自然に対して出来ることなんて本当にわずかなことしかないのかもしれません。